ワイズパーソナルジム代表の義田です。
ダイエットシーズンが終われば、その体型をキープする維持期もしくは筋肉を付ける時期に移行する方もいるでしょう。
また、ボディメイク関係の大会に出ている方は、大会シーズンが終わりそろそろ増量期(=筋肥大期)に移行する方も多そうですね。
また、筋肥大期でも維持期でも、闇雲に食事量を増やさずに栄養バランスや食べるタイミングを意識した食事管理が大切です。
より見た目をカッコよく美しくするためには筋肉は必要ですし、リバウンド防止のためにも筋肉を付けて日常生活での代謝を増やす必要があります。
減量期や筋肥大期、維持期のいずれにしても、食事管理+筋トレは欠かせないですね!
目次
刺激を変えることが停滞を打破する!ピリオダイゼーションについて
夏場の減量、ダイエットシーズンが終わり、食事量を増やしてトレーニングを実施しているのにも関わらず、
「挙上重量があまり変わらず、筋肉が付いた実感がない」
「むしろ、筋肉よりも体脂肪の方が多く付いたかもしれない・・・」
と悩まれている方はいませんか?
それは、筋肉がそのトレーニングの刺激に慣れ過ぎてしまい、筋肉が成長していないのかもしれません。
トレーニングは定期的なメニューの見直しを実施して、期分け(=ピリオダイゼーション)を設けることで、
身体に新鮮な刺激を与えることができ、筋肥大の停滞を打破することが出来るかもしれません。
今回は、刺激を変えて停滞期を打破するピリオダイゼーションについて説明します。
筋肉が成長するメカニズム → ピリオダイゼーションの概要 → 実施例 の流れで説明します。
是非、この記事内容を参考にして実践して頂き、より理想的な体型や競技力を身に付けていきましょう!
筋肉が成長するメカニズム
筋肉が成長するメカニズムを簡単に説明します。
筋肉が成長するのは、筋肉に対して物理的※1もしくは化学的※2なストレスに対しての適応反応です。
※1:バーベルによる負荷で、降ろす動作時(主動筋の伸長時)にゆっくりと降ろすエキセントリックな刺激や爆発的な挙上によって物理的なストレスを高めることができます。
※2:疲労物質である乳酸が溜まったり、血中の酸素濃度が低くなったりする状態での刺激になります。
高レップな負荷設定にするとこのストレスを高めることができます。
一.トレーニングによる負荷(=ストレス)により筋繊維が損傷する。
↓
二.十分な栄養摂取状況下で筋繊維の周囲に存在する筋サテライト細胞(筋衛星細胞)が活性化する。
↓
三.活性化した筋サテライト細胞が細胞分裂を開始、分裂して増加した細胞が筋繊維と融合する。
↓
四.融合した細胞が筋繊維となり、筋肉が成長(筋肥大)する。
参考文献:Yin H, Price F, Rudnicki MA. Satellite cells and the muscle stem cell niche. Physiol Rev. 2013; 93: 23-67.
ピリオダイゼーションの概要
筋肉は物理的または化学的なストレスに適応して成長していきます。
成長の進捗は、見た目、メジャーによるサイジング(ウェストなど)、挙上重量を参考にしましょう。
変動しやすい体重や体脂肪率などの体組成を重要視せず、参考値として捉えることがモチベーションを一喜一憂しないさせないテクニックになります。
挙上重量を伸ばしていく際に、同じ刺激の入れ方のトレーニングメニューだけでは限界があります。
例えば、トレーニング開始時にベンチプレス40kg×10回をインターバル120秒※で3セット出来たとしましょう。
※筋肥大と筋出力を目的とする場合、インターバルは筋肉量に応じて増やしていきましょう。
初心者は上半身120秒下半身180秒、中級者は上半身180秒下半身240秒、上級者は上半身や下半身共に300秒以上とりましょう。
1週目:40kg×10回を3セット、インターバル90秒くらい
2週目:42.5kg×10回を3セット、インターバル90秒くらい
3週目:45kg×10回を3セット、インターバル90秒くらい
4週目:47.5kg×10回を3セット、インターバル90秒くらい
5週目:50kg×10回を3セット、インターバル90秒くらい
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という形で続けていきますが、いつまでも伸び続けることはなく、どこかのタイミングで停滞することでしょう。
(1セット目10回、2セット目8回、3セット目6回+レストポーズ2回という風にセットを重ねるごとに反復回数が減っても構いません。
レストポーズなど追い込みテクニックは「限界まで自分を追い込むことができるトレーニングテクニックとは」を参照してみてください。)
私の経験からですが、2-3週間の期間1セット目の挙上重量が伸びないときは停滞と判断します。
これは、筋肉がこのルーティンの刺激の入れ方に慣れてしまい(=マンネリ化)、適応反応が弱くなっていると考えられます。
このタイミングでメニューを変えて刺激を変えるピリオダイゼーションを設けるのが理想的です。
ピリオダイゼーションの実施方法、実施例
ピリオダイゼーションでは刺激を変えるためにメニューを調整しますが、調整する項目としては種目、フォーム、挙上回数、セット数、インターバルが考えられます。
以下に参考までにそれら項目のパターンを用意しました。
パターン1「高レップ法と低レップ法」
低負荷高回数(=高レップ法)を実施する期間と、高負荷低回数(=低レップ法)を実施する期間を交互に繰り返していく方法です。
高レップ法では、化学的ストレスを優位にするために血中の乳酸を溜めて、酸素濃度を低下させていく必要があります。
そのために、限界挙上回数12-30回程度の重量でインターバルは短めの60-90秒程度を3セット。
挙上回数が著しく落ちる際にはドロップセット(重量を段々落としていく方法)にするのも良いでしょう。
重量の目安としては10レップできる重量の60%で30回、70%で20回となります。
例:60㎏10回できる場合、37.7㎏で30回、42.5㎏で20回くらいできることになります。
低レップ法では、より高重量をスピーディーに扱うことで物理的なストレスを優位にします。
また、モーターユニット(神経に支配されている筋肉)の強化や増加に繋がり、筋出力が向上しやすいです。
そのために、限界挙上回数3-8回程度の重量でインターバルは長めの180-300秒程度を3-5セット(体力や体調による)。
重量はなるべく落とさずに一定の重量で行うこと(ストレートセット)がモーターユニット強化につながり筋出力向上に役立ちます。
それぞれの実施期間としては、
10レップで停滞
→そのまま重量を実施ごとに+2.5㎏増やしていって3レップになるまで続ける(低レップ法へ移行していく)
→10レップの60%の重量で30回実施する期間を2週間設ける(高レップ法)
→前回の10レップのベストから-5%重量を落として実施して、また毎回重量を増やしていく(中レップ法)
パターン2「低頻度と高頻度」
頻度は週にその部位を何回トレーニングするかです。
一般的には4分割法で部位を分けてトレーニングし、週に一度鍛えれば十分という考えがメジャーです。
1:胸、肩 2:足 3:腕 4:背中 など
また、この方法でも共動筋※として目的の筋肉以外も鍛えられるので、実質どの部位も週1回以上の刺激にはなります。
※ベンチプレスの場合、メインで働く筋肉である主動筋は胸(大胸筋)、共動筋は肩(三角筋前部)と二の腕(上腕三頭筋)になります。
低頻度で停滞した場合は、同じ部位の頻度を増やすことで停滞を打破できる可能性はあります。
私の場合は、ベンチプレスを伸ばすために週2回ベンチプレス実施の低頻度なシーズンと、週4~5回ベンチプレス実施の高頻度なシーズンと分けています。
低頻度ではしっかりと追い込むトレーニングを、高頻度では追い込む日と追い込まない日と分けて実施します。
(高頻度トレーニングの考え方はエブリデイトレーニングと言われ、少しエクササイズな感覚からは遠ざかります。
機会があればエブリイトレーニングの概念を記事にしようと考えています。)
パターン3「SSCとStop&Go」
SSCとは「ストレッチショートサイクル」の略で、筋肉が伸ばされることによる伸張性反射を利用して筋肉を収縮させる運動になります。
この性質を利用することで瞬発的かつ爆発的なパワーが実現でき、より高重量でトレーニングできるようになります。
Stop&Goとは、スティッキングポイント※で一旦静止してから動作を再開するトレーニング法になります。
重量は扱えないですが軽い重量でもしっかりと筋肉へ効かすことができます。
※力の方向が切り替わる瞬間を指します。
ベンチプレスではバーベルが胸に触れた状態、スクワットではしゃがみきった状態になります。
このトレーニング法では、モーターユニット強化に効果があり停滞打破をするためにきっかけになることもあります。
ベンチプレスであればSSCは一般的なトレーニング(止めなしベンチプレス)で実施していることになり、バーベルが胸の前に来た時に1秒くらいとめる止め有りベンチプレスがStop&Goとなります。
パターン4「フルレンジとパーシャル」
フルレンジとはその種目で、稼働域一杯に動作することを指します。
例として、スクワットではフルスクワット、デットリフトでは床から挙上する方法になります。
フルレンジは筋肉の動員数が多く筋発達を促すため、柔軟性に問題が無い場合は普段から実施することをオススメします。
パーシャルとは稼働域を狭くして動作することを指します。
稼働域を狭くすることで、フルレンジよりも高重量なトレーニングによる刺激を与えることが出来ます。
例として、スクワットではハーフスクワットやクォータースクワット。
デットリフトでは膝上から挙上するハーフ(トップサイド)デットリフトになります。
ベンチプレスではボードやラックのセーフティーを使用して、ハーフポジションから挙げるボードプレスやピンプレスなどがあります。
普段はフルレンジでトレーニングをして、停滞したらパーシャルを入れて普段よりも高重量なトレーニングをしてみると停滞打破に繋がることがあります。
筆者のピリオダイゼーションの実施例
どのようにピリオダイゼーションを設定するかは、個人に合った方法を探すのも楽しみの一つですが、今回は私の実施方法を紹介します。
ピリオダイゼーションは定期的に見直しますので、この方法は一例に過ぎません。
私はパワーリフティングとボディメイクの両方を実施している選手ということもあり、筋肥大期と筋出力向上期を交互に実施しています。
ボディメイクに筋出力向上期を挟むメリットとしては、筋肥大期に移行した際により高重量で筋肥大系のメニューが実施できるようになる。
そして、さらに筋肥大するようなイメージです。
そのお陰からか、トレーニング歴は長いですが筋肉量は年々停滞することなく増えていってます。
ピリオダイゼーションの日程とメニュー内容
普段は筋肥大期にしていて、パワーリフティング大会2ヶ月くらい前から筋出力向上期にしています。
筋肥大期
この期間中はボディビルで一般的に行われているメニューである4分割法か3分割法にしています。
例としては、
4分割=
月:胸、肩
火:下半身
水:OFF
木:腕
金:背中
土日:OFF
3分割=
月:下半身、背中
火:胸、肩、上腕三頭筋
水:背中、上腕二頭筋
木:OFF
金:月と同じ
土:火と同じ
日:OFF
項目的には、中~高レップ、低頻度、SSC、メインセット中はフルレンジで後半パーシャルレップを入れます。
筋出力向上期
BIG3(スクワット、ベンチプレス、デットリフト)以外は筋肥大期と同じメニューですがBIG3に悪影響が出ないように実施していて、ベンチプレスを週5、スクワットを週2、デットリフトを週1実施しています。
重量を持って追い込むのは週1回(それ以外はフォーム練習)としています。
この期間中はパワーリフティングで行われているエブリデイベンチと下半身(スクワットとデットリフト)は5*5ルーティンを実施しています。
メニューとしては、低レップ、高頻度、Stop&GoとSSCを交互に、フルレンジでたまにパーシャルにします。
参考動画と外部リンク
・5×5ルーティンのルーティン作成ページ
http://gluteus.web.fc2.com/5_5.html
参照先の上の空欄に、現在のMAX重量1RMか5回挙げたい重量を入力するとメニューが作成されます。
右肩上がりの重量設定ではなく、上がったり下がったり変動したメニューになります。
高頻度に実施するか、下がった重量のときにstop&goを実施するのも良いでしょう。
・エブリベンチの実施動画
https://youtu.be/1bXqfgSZ5Kk">https://youtu.be/1bXqfgSZ5Kk
・ベンチプレスの実施動画
https://www.youtube.com/watch?v=ZNGUJ4ykAwQ">https://www.youtube.com/watch?v=ZNGUJ4ykAwQ
まとめ
停滞を打破するためには筋肉への刺激の入れ方を変化させるピリオダイゼーションが大切になります。
種目、重量、回数、インターバル、セット数、フォームなどを変化させて、筋肉へのアプローチを変化させましょう。
個人的には筋肥大期⇨筋出力向上期を交互に繰り返すのがオススメです。
いかがでしたか?
当ジムではダイエットだけでなく、機能解剖学に基づいたトレーニングとこのような栄養学に基づいた食事指導を行いますので筋肉も効率良く付けることができます。
カッコ良くボディメイク、またはスポーツパフォーマンス向上のお手伝いが出来ればと思います!
この他にもトレーニングや食事に関する疑問質問がありましたら、是非一度私のジムの体験トレーニングを受けてみてはいかがでしょうか。
より詳細な情報、身体の使い方について指導させて頂きます。
引き続き、身体作りに必要な情報を掲載致しますのでよろしくお願い致します!
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「超理論超実践派トレーナー」
義田 大峰 (職業:パーソナルトレーナー兼フィットネスジム経営)
科学的根拠に沿った「無駄な辛さやリバウンド無し!」のメソッドを掲げ、500人を超えるお客様をサポート。
自身もボディメイク、パワーリフティング、空手やキックボクシングの競技で活躍する。
ワイジング株式会社 代表取締役
ワイズパーソナルジム(西永福)代表
パワーフィットスタジオZERO(浜田山)代表
日本タイ古式マッサージ協会プロセラピスト認定資格
全世界空手道連盟新極真会初段 指導員経験あり
全中部フルコンタクト空手選手権大会一般上級の部 3位
東京都パワーリフティング協会理事
2022年東京都パワーリフティング83kg級優勝
2022年東京都ベンチプレス大会83㎏級優勝
自身が120kgから70kgに減量に成功したことや、柔道、空手、パワーリフティングなどの競技経験をきっかけにフィットネス業界に入る。
RIZAP(ライザップ)株式会社に入社。
その後独立し、ワイズパーソナルジムを設立し、パーソナルトレーナーとしてボディメイクやスポーツ選手に対して指導、セミナー主催、フィットネス事業とそのコンサルティングなどを行っている。
【ワイズパーソナルジム】
東京都杉並区大宮2-7-4
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