ワイズパーソナルジム代表/パワーフィットスタジオZEROオーナーの義田です。
パーソナルトレーナーという職業を長く実施していると、お客様や友人から色々と質問をされます。
運動生理学、栄養学、機能解剖学の知識、更に現場の経験も踏まえて、それらの観点から質問に答えるコーナーを設けました!
今回は皆さまの関心の高い”ダイエット後のリバウンド防止”に答える回となります。
この記事を参考にして、リバウンドの恐怖を払拭して更なるボディメイクを達成しよう!
目次
ダイエット後のリバウンド解決Q&Aコーナー
ダイエット後は「ちょっと食べただけで太りそう!」といった、恐怖感があると思います。
せっかく瘦せたからには、しっかりとキープしたいという思いが強く、その思いが強い故に摂食障害にも繋がったりします。
今回のQ&Aコーナーで、そんなリバウンドの恐怖を理論的に解消して、食べないだけのリバウンド防止を卒業していきましょう!
Q1:ダイエット成功しましたが、リバウンドが怖いです!
元々体重120kgありましたが、2年間で80kgまでダイエット成功しました!
が、少し食べただけですぐに体重が増えてしまいます…
ダイエット後のリバウンド防止には何をすれば良いでしょうか?
A1:恒常性を揺さぶるためプチ増量期を設けましょう
生物には恒常性(ホメオスタシス)が備わっています。
例えばサウナに入った場合、外気温が高いので一旦体温が上がりますが、汗をかくことでそれ以上体温が上がらないようにブレーキを掛けます。
外が寒いと筋肉が収縮して熱が逃げにくくする&筋肉の震え運動によって体温が下がらないようにブレーキを掛けます。
入浴で身体が温まったあとは毛細血管が広がって体温が下がりやすく、湯冷めという現象は体温のリバウンドと言えます。
ダイエットも同様に、食事制限+運動によって痩せてくるとそれ以上痩せまいと筋肉を優先的に減らして代謝を低下させたり、倦怠感による活動量低下、食欲増進といったように、身体がダイエットのブレーキを掛けるだけでなく、むしろ太りやすい状態になります。
参考文献:運動による脂肪組織の恒常性維持に対する オートファジーの役割
https://www.shinshu-u.ac.jp/faculty/textiles/db/seeds/des37_21.pdf
そもそもダイエット時は体脂肪と共に筋肉量が低下しやすく、筋肉量が低下すれば代謝が低下します。
基礎代謝も体重に比例するため、単純に体重が落ちれば(仮に筋肉量が変わらなくても)代謝が落ちます。
(逆に言えばデブが疲れやすいのは、体重によって基礎代謝が高いと言えますね笑)
更に有酸素運動を増やしてダイエットをした場合、筋肉内のUCPが減ってしまい代謝が低下する可能性もあります。
UCPとはミトコンドリア脱共役タンパク質のことで、熱生産によってエネルギーを消費させ、安静時の代謝を促進させます。
高強度・短時間・間欠的トレーニングは 抗肥満・抗糖尿病効果を …
筋肉内に存在するものをUSC3といい、有酸素運動によって減り、筋トレなどの無酸素運動によって増えるとされています。
このように、ダイエット後は代謝が低下して、そのままでは太りやすい状態と言えます。
ここで食事管理と運動を辞めてしまったらリバウンドしてしまうので、引き続き食事管理と運動を継続することになります。
湯冷めを例に説明すると、入浴後にあえて水風呂/水シャワーを短時間実施することで、毛細血管を締めて熱を逃げにくくする湯冷め防止効果があります。
このように恒常性を逆手に取って、ダイエット期においてはあえてプチ増量期を設けると良いでしょう。
ダイエット後は太りやすいというデメリットだけでなく、筋肥大しやすいというメリットもあります。
プチ増量期によって極力脂肪を付けずに筋肉を増やすことができれば、リバウンド防止だけでなく筋肥大によってよりカッコ良く/美しくなるため、ボディメイクも進捗していくことでしょう。
Q2:プチ増量期(代謝向上期)は何をしたら良いでしょうか?
ダイエット後にプチ増量期を設けると良いのですね!
早速、プチ増量期をやりたいのですが、具体的に何をしたら良いのでしょうか?
A2:食事管理は変わらず継続、トレーニング強度を増やしていきます
プチ増量期では、筋肥大を促すためダイエット期よりも摂取カロリーを増やします。
そしてカロリーを増やした分、トレーニングの強度やボリュームを増やして、しっかりと筋肉へ刺激を与えていきます。
筋肥大をバルクアップとも言いますが、バルクアップには2通りあります。
1.ダーティーバルク
→摂取カロリーを一気に増やして、体脂肪と筋肉の両方とも増やしていく、攻めのバルクアップと言えます。
2.リーンバルク
→摂取カロリーを消費カロリーより若干上回るカロリーバランスに管理し、無駄な体脂肪を付けずに筋肉を増やしていく、守りのバルクアップと言えます。
ダイエットを目的としていますので、ダーティーバルクをしてしまうと振り出しに戻ってしまい意気消沈するのは目に見えています笑
プチ増量期ではリーンバルクを選択して、堅実に筋肉量と代謝を増やしていきましょう。
また、一般的なバルクアップにおいてもダーティーバルクの場合、バルクアップ後に大幅なダイエットが必要となるため、結果的に残る筋肉量が少ないとされ効率が悪いと言われています(実体験も含めて)。
プチ増量期の増量幅と期間はダイエット期の結果から変わります。
例えば、ダイエット期で体重-10%達成できていたとしたら、現体重+3~5%のプチ増量となります。
ざっくりとダイエットの減量幅の30~50%程度増量するイメージです。
体重100㎏から90㎏にダイエットを成功した場合、92.7~94.5㎏程度まで増量をします。
期間としては1~2か月程度で、安全に増やすのであれば2か月間くらいかけて目標増量体重を目指すと良いでしょう。
先ほどの方であれば、+2.7~4.5㎏を2か月程度で増量する形になりますので、1週間で+0.34~0.56㎏増量するペースとなります。
参考:恒常性を揺さぶれ!効果的な増量と減量サイクルについて
https://ys-personal-gym.com/blog/2019/01/15/massup_diet_planning/
Q3:プチ増量期の食事管理方法詳しく教えて!
プチ増量期の食事はカロリーを消費カロリーより若干上回る感じですね。
内訳(PFCバランス)やボリューム配分などはどのような感じで実施すると良いでしょうか?
A3:糖質量を増やして高糖質中タンパク質低脂質がオススメ
摂取カロリーの求め方として、従来のダイエット食からカロリーを徐々に増やして毎朝体重を測定し、体重の推移を確認しましょう。
体重の推移が先ほど設定した増量ペースから外れないように、食事量を調整していくと良いでしょう。
内訳としては高糖質中タンパク質低脂質となり、PFCバランスは6:3:1を目安にします。
各栄養素の1日の摂取量としては、
・糖質 男性体重×5~6gくらい 女性体重×3~4gくらい
・タンパク質 男性体重×1.5g以上、女性体重×1.3g以上
・脂質 30g以上50g未満
イメージとしては糖質量で食事量を調整する感じです。
ボリューム配分としては、体脂肪合成のリスクの少ない昼食やトレーニング前、中、後でカロリー摂取しても良いでしょう。
トレーニング前にバナナ+プロテイン(糖質とタンパク質)、トレーニング中にワークアウトドリンクとしてスポーツドリンク(糖質)、トレーニング後に和菓子とプロテイン(糖質とタンパク質)という形で摂取できると良いでしょう。
イメージとしては、ダイエット後すぐであれば普段の食事自体はダイエット期とあまり変化させず、トレーニング前、中、後にしっかりと栄養摂取する形を取れば、メンタル面でもリバウンド恐怖に怯えずに栄養摂取出来るでしょう。
Q4:プチ増量期のトレーニング方法は?
プチ増量期のトレーニングはダイエット時のトレーニングと異なるのでしょうか?
A4:インターバル長めで物理的刺激を高めよう!
強度とボリュームを増やしていきます。
インターバルを長めに設定して、血中乳酸濃度を一旦下げてから次のセットを実施すると、重量/反復回数が増えて物理的な刺激が増します。
筋肥大においては乳酸が蓄積するような化学的刺激よりも、物理的な刺激の方が筋肥大しやすいとされています。
参考文献
・Neither load nor systemic hormones determine resistance training-mediated hypertrophy or strength gains in resistance-trained young men. J Appl Physiol (1985). 2016 Jul 1;121(1):129-38. doi: 10.1152/japplphysiol.00154.2016. Epub 2016 May 12.
・Effects of Low- vs. High-Load Resistance Training on Muscle Strength and Hypertrophy in Well-Trained Men. J Strength Cond Res. 2015 Oct;29(10):2954-63. doi: 10.1519/JSC.0000000000000958.
インターバル時間としては、上半身2~3分間以上、下半身3~5分間以上にします。
数値にふり幅があるのは筋肉量によって必要なインターバル時間が変わるからです。
トレーニング初心者であれば上半身2分間、下半身3分間くらいでよく、中級者以上は上半身3分間以上、下半身5分間以上取った方が良いでしょう。
参考文献:Effects of Rest Interval Duration in Resistance Training on Measures of Muscular Strength: A Systematic Review
https://link.springer.com/article/10.1007/s40279-017-0788-x
増量期の具体的なトレーニングプログラムはこちらを参考に実施してみてください。
筋肥大を目的としたトレーニング法とトレーニングの基礎知識
有酸素運動に関しては、適時実施すると良いでしょう。
消費カロリーを増やしてウェイトコントロールをする理由以外にも、血行を良くする、筋肉がほぐれて各関節の動きを良くする、心肺機能を高めるなどトレーニング自体にも良い効果をもたらします。
私自信、空手やキックボクシングなどで有酸素運動をしていますが、普段動かさない筋肉を動かすことでトレーニングの調子が良くなったりします。
オリジナル三戦の型にハマってます!
— ふんどしのための肉体改造|義田 YouTuber & 浜田山のジムと脱毛サロンのオーナー (@theapokici) January 14, 2023
呼吸とリブダウン、前鋸筋のアクティベーションになるかも😁
キックボクシングジム出禁にならぬように気を付けますw pic.twitter.com/0EN8wyBoMC
バルクアップ期=有酸素運動をしない、という認識は正しくありません。
ダイエット期ほど意識しないまでも、プチ増量期で適度に有酸素運動をするのは良いことでしょう。
参考文献:Ask The Muscle Prof: What’s The Best Cardio For Preserving Mass?
https://www.bodybuilding.com/content/ask-the-muscle-prof-best-cardio-for-preserving-mass.html
Q5:プチ増量期で追加したい栄養素(サプリメント)は?
ダイエット後にプチ増量期を設定し、食事管理と高強度なトレーニングに励もうと思います!
補強する栄養素として何がおススメでしょうか?
A5:クレアチン、CLAあたりがオススメ
一般的な栄養視点だと、タンパク質量を補うためにプロテイン、不足しがちなビタミンミネラルを補うためにマルチビタミンミネラルはベーシックなサプリメントとなります。
↑プロテインは余分なカロリー摂取を避けて、手軽にタンパク質を補給できる優れものです。
↑酵素の構成材料としてタンパク質が主酵素、ビタミンが補酵素、ミネラルが主因子となります。
酵素は体内の化学反応の触媒となり、生命活動はもちろん筋肥大や脂肪燃焼にも関わってくる重要な物質です。
そこを抑えた上で追加して摂取したいサプリメントとして、クレアチン、CLAがおススメとなります。
クレアチンについて
クレアチンは非必須アミノ酸の一種で、体内で合成されてクレアチンリン酸として筋肉に存在しています。
クレアチンリン酸は、筋肉が収縮する際のエネルギーとなるATP(アデノシン三リン酸)の再生に利用されます。
クレアチンの摂取は、筋トレなど無酸素運動の高強度トレーニング時(解糖系~ホスファゲン機構)に、素早くエネルギーを作り出すようにサポートしてくれ、挙上重量増加などが期待できます。
結果的に筋肥大に有用とされています。
参考文献:クレアチンモノハイドレートのサプリメント補給:アスリートの認知能力に関する留意点
https://www.nsca-japan.or.jp/journal/25_10_46-55.pdf
CLAについて
共役リノール酸 (CLA) はリノール酸 (実際にはサフラワー油など) をアルカリ異性化して生成されます。
CLAには、発がん抑制や体脂肪低減をはじめとする生理機能を示すことが動物実験により明らかにされ、その作用機序についても実験によってある程度明らかにされてきています。
中でも、体脂肪低減作用はヒトでも有効性が報告され、とくに注目されている栄養素です。
参考文献:共役リノール酸 (CLA) の生理機能と食品への応用
https://cir.nii.ac.jp/crid/1390001204483955072
まとめ
今回のことをまとめると
・ダイエット後の筋肉量/代謝回復にはプチ増量期を設けることがおススメ
・プチ増量期は2か月間くらいで減量幅の30~50%くらいの増量幅が良い
・食事内容は高糖質中タンパク質低脂質、食事量(糖質量)は体重の変異をみて微調整
・トレーニングは高強度高ボリューム、インターバルは長めに設定
・サプリメントはプロテイン、マルチビタミンミネラル、クレアチン、CLAがおススメ
になります。
是非、この記事を参考にして、ダイエット後のリバウンドの恐怖を払拭し、更なるボディメイクを達成しましょう!
トレーニングの原則には”意識性”というのがあり、目的ややる意味を理解することでパフォーマンスが向上するとされています。
ダイエットは根性も大切ですが、理論武装もして両面性を持って取り組んでいきましょう!
以上になります!
当ジムでは機能解剖学に基づいたトレーニングと栄養学に基づいた食事指導、目標達成のためのメンタルコントロールをトレーナーとマンツーマンで実施して指導致しますので、挫折なくしっかりと結果を出せていきます!
カッコ良くボディメイク、またはスポーツパフォーマンス向上のお手伝いが出来ればと思います! この他にも、トレーニングや食事に関する疑問や質問がありましたら、是非一度私のジムの体験トレーニングやカウンセリングを受けてみてはいかがでしょうか。 より詳細な情報、身体の使い方について指導させて頂きます。 引き続き、身体作りに必要な情報を掲載致しますのでよろしくお願い致します!
杉並区の京王井の頭線西永福、浜田山が活動拠点になります。
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「超理論超実践派トレーナー」 義田 大峰 (職業:パーソナルトレーナー兼フィットネスジム経営) 科学的根拠に沿った「無駄な辛さやリバウンド無し!」のメソッドを掲げ、500人を超えるお客様をサポート。 自身もボディメイク、パワーリフティング、空手やキックボクシングの競技で活躍する。 ワイジング株式会社 代表取締役 ワイズパーソナルジム(西永福)代表 パワーフィットスタジオZERO(浜田山)代表 日本タイ古式マッサージ協会プロセラピスト認定資格 全世界空手道連盟新極真会初段 指導員経験あり 全中部フルコンタクト空手選手権大会一般上級の部 3位 東京都パワーリフティング協会理事 2022年東京都パワーリフティング83kg級優勝 2022年東京都ベンチプレス大会83㎏級優勝 自身が120kgから70kgに減量に成功したことや、柔道、空手、パワーリフティングなどの競技経験をきっかけにフィットネス業界に入る。 RIZAP(ライザップ)株式会社に入社。 その後独立し、ワイズパーソナルジムを設立し、パーソナルトレーナーとしてボディメイクやスポーツ選手に対して指導、セミナー主催、フィットネス事業とそのコンサルティングなどを行っている。 【ワイズパーソナルジム】 東京都杉並区大宮2-7-4 京王井の頭線 西永福駅から徒歩5分 【パワーフィットスタジオZERO】 東京都杉並区高井戸東3-14-16 京王井の頭線 浜田山駅から徒歩5分