ワイズパーソナルジム代表/パワーフィットスタジオZEROオーナーの義田です。

パーソナルトレーナーという職業を長く実施していると、お客様や友人から色々と質問をされます。
運動生理学、栄養学、機能解剖学の知識、更に現場の経験も踏まえて、それらの観点から質問に答えるコーナーを設けました!
今回は皆さまの関心の高い”ダイエット”のちょっとした疑問に答える回となります。
この記事を参考にして、無駄な体脂肪を削って理想の身体を手に入れよう!

ダイエット期における疑問解決Q&Aコーナー

ダイエット時に「これって大丈夫なの?」といった、ちょっとした疑問が多数あると思います。
今回のQ&Aコーナーで、そんな疑問を理論的に解消して、納得してダイエットを継続していきましょう!

Q1:糖質は敵だと思います!ずっと糖質制限しても問題ないでしょうか?

糖質制限ダイエットを3ヶ月間実施して、体重が-10㎏も落ちました!
やはり糖質って太りますね!このまま糖質制限していても問題ないのでしょうか?

A1:短期的な糖質制限なら大丈夫ですが、長期的な糖質制限はリスクが伴います

糖質制限ダイエットを長期的に(概ね3ヶ月以上)継続するデメリットは以下の通りになります。
・筋肉量が低下しやすい
→糖質はどの栄養素よりもエネルギー利用されやすい栄養素です。
この糖質が身体にある状態(グリコーゲンとして貯蔵されている状態)では、エネルギーとして糖質が利用され、筋分解されにくい状態になります。
更に、糖質を摂取することで、膵臓から分泌されるインスリンには強い筋肉同化作用があり、トレーニング時の筋肉を増やすことに貢献します。
この糖質の働きが糖質制限では享受できないため、筋肉量が低下しやすくなるリスクが懸念されます。
・代謝が低下して停滞しやすい
→筋肉量が低下する、FOXOが活性化する。甲状腺機能が低下するなど、長期的な糖質制限では代謝低下のリスクが懸念されます。
・糖質を摂取したときに太りやすくなる
→長期的な糖質制限はインスリン感受性と耐糖能を低下させて、いざ糖質摂取をしたときに太りやすくなることが懸念されます。
(単純に糖質摂取の代わりに、脂質量を減らせていないことも考えられます)
・何よりも食費が掛かる!
→糖質制限ダイエットでは、糖質を制限する代わりに、十分な量のタンパク質と脂質を摂取する必要があります。
それらは、肉、魚、チーズ、卵、ナッツ類、MCTオイルなどになりますが、いづれも価格が高く食費がかさむのが辛いのです笑

糖質制限
糖質制限食の魅力はおかずをしっかりと食べられること。しかし、食費がかさむのが辛い笑

結論として糖尿病など疾患がないのであれば、糖質制限は3ヶ月くらいまでにして、糖質を摂取して脂質を抑えた低脂質食に移行すると良いでしょう。

メカニズムの詳細は過去記事「糖質制限と脂質制限(カロリー制限)のメリットとデメリットとは?」を参照してみてください。

https://ys-personal-gym.com/blog/2017/06/25/normal_diet_first-half/

Q2:糖質制限後の糖質の戻し方は?糖質摂取が怖いの・・・

糖質制限ダイエットで無事痩せましたが、いつか糖質摂取したいのですが、正直リバウンドしそうで怖いです・・・。

A2:まずはリバウンドリスクの低い、トレーニング時の糖質摂取から始めましょう!

先ほどの回答で説明した通り、糖質制限ダイエットによってインスリン感受性と耐糖能低下が懸念されます。
その状態で、普段通りに糖質摂取をすると太りやすくなると言っても過言ではありません。
(それ以前に糖質摂取に伴って、脂質量を減らせていなくてオーバーカロリーという可能性もありますが・・・)
例えば、糖質制限ダイエットを実施している方は経験があると思いますが、いざ糖質摂取したときにかなり眠くなることがあります。
このようにインスリン感受性と耐糖能低下を感じると思います。

糖質制限ダイエット後の糖質摂取において、このインスリン感受性が高くて糖質をうまく利用されやすいタイミングがあります。
それはトレーニング前、中、後のタイミングになります。
筋トレの実施によって糖質を消費され、グルカゴン※の分泌によって優先的に糖質をエネルギーとして利用されるからです。

グルカゴンとは血糖値を上昇させる膵臓のランゲルハンス島α細胞から分泌され、インスリンと相反する性質があります。血糖値上昇させるために、肝臓や筋肉に蓄えられているグリコーゲンを消費します。

参考文献:グルカゴン – 薬学用語解説

また、トレーニングをした後は筋肉内のグリコーゲンが枯渇し、優先的に糖質を筋肉に運ぼうと糖輸送体であるGLUT4が筋細胞上に発現しますので、糖質を摂取しても体脂肪になりにくく筋肉へと補填されます。
しかも、糖質を摂取すると膵臓からインスリンが分泌され、このインスリンは筋肉の同化作用が強く天然のドーピングと呼ばれるくらい強力です。
要は、トレーニング後に糖質を摂取しないのはとても勿体ないことです!

トレーニング前:30~60分前くらいにプロテインと共におにぎりやバナナなど軽食として摂取
トレーニング中:スポーツドリンクなどワークアウトドリンクとして摂取
トレーニング後:プロテインと共に和菓子など、脂質のなるべく少ない吸収の早い糖質を摂取

ワークアウトドリンク
ワークアウトドリンクとトレーニング後の和菓子セット

このように、トレーニング前の軽食、トレーニング中のワークアウトドリンク、トレーニング後のご褒美として糖質を摂取すると良いでしょう。
ただし、緩いトレーニングですと糖質を消費しきれないため、必ず脚、お尻、肩、胸、背中などの大きな筋肉のいづれかの部位をしっかりと追い込むようにしましょう。

詳細のメカニズムや方法は過去記事「低糖質(糖質制限)ダイエット後の糖質の戻し方について」を参照してみてください。

https://ys-personal-gym.com/blog/2016/05/07/%E4%BD%8E%E7%B3%96%E8%B3%AA%E3%83%80%E3%82%A4%E3%82%A8%E3%83%83%E3%83%88%E5%BE%8C%E3%81%AE%E7%B3%96%E8%B3%AA%E3%81%AE%E6%88%BB%E3%81%97%E6%96%B9%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/

Q3:低脂質食を実施していますが、脂質0でも問題ないでしょうか?

カロリーの高い脂質を極力カットして、カロリー制限でダイエットをしています。
極端な話、脂質0でも問題ないでしょうか?

A3:脂質もホルモン生成や細胞膜の材料といった大切な栄養素です!

確かに脂質は1gあたり9Kcalと、糖質やタンパク質の1gあたり4Kcalと比べると大きいエネルギーになります。
しかし、脂質にも立派な働きがあります。
・身体の構成材料である細胞膜の材料になる
・ホルモンの材料になる(特にテストステロンは筋肥大と脂肪分解に有用)
・エネルギーとして利用される
になります。

脂質量が不足し過ぎると、身体に痣ができやすい、怪我をしやすい、怪我が治りにくい、女性の生理不順、お通じの悪化、脂溶性ビタミンの吸収率低下による体調不良、テストステロン値低下など多岐にわたります。
脂質摂取量は最低でも30gくらいは摂取したいところです。
ダイエット時でなく、体型をキープしつつ筋肥大を目指す場合は50gくらいは摂取しても良いでしょう。

また、脂質には種類があり、摂取する脂質の種類も意識すると良いでしょう。
・飽和脂肪酸:常温で固形が特徴。
炭素間に二重結合を持たない脂肪酸で、乳製品、肉などの動物性脂肪に多く含まれています。
・不飽和脂肪酸:常温で液体が特徴。炭素間に二重結合をもつ脂肪酸を不飽和脂肪酸といいます。
オリーブオイルなどの植物性油脂に多く含まれています。
オメガ6 サラダ油、加工食品に含まれる植物性油など
オメガ9 オリーブオイル、アボカドなど
オメガ3 魚油、亜麻仁油、クルミなど

海鮮丼
私のリーンバルク食「海鮮丼」旨い、健康的、高たんぱくで言うことなし!
リーンバルクとは極力無駄な体脂肪を増やさない筋肥大を指します。

結論として、摂取する脂質を不飽和脂肪酸のオメガ3を多く含む魚油などで摂取できると理想的です。
ダイエット時に毛嫌いされる飽和脂肪酸は、実はテストステロンの材料にもなりやすいです。
飽和脂肪酸を0にする訳ではなく、タンパク源として肉も選択し、皮や脂身を外すなどして少量でも摂取できると良いでしょう。

脂質の栄養機能 五十嵐脩 著 – J-Stage

https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu1962/33/10/33_10_668/_pdf

Q4:えい面倒だ!糖質も脂質も両方摂らなければ最速ダイエット間違いなし!

体重が120㎏ある巨漢ですが、さっさと痩せたいので糖質+脂質の両方を制限します!
これでササっと体脂肪減少間違いなしですね!

A4:糖質&脂質制限ダイエットの先は悲惨な結果が待ち受けています

基本的に、糖質制限ダイエット、低脂質ダイエットは以下を推奨します。
・糖質制限ダイエット時は糖質量を50g以下/日に制限し、タンパク質量体重×2g、脂質を制限せずに体重×1.4g程度
・低脂質ダイエット時は糖質量体重×3~4g、タンパク質量体重×2g、脂質を30~50g程度に制限
するイメージとなります。

では糖質と脂質の両方を制限するとどうなるのか?
結論として大幅なアンダーカロリーで体脂肪は減少しますが、同時に筋肉量も加速的に減少します。
正しいボディメイクとは、筋肉量があることと無駄な体脂肪が無いことになります。
ダイエット時に筋肉量を落し過ぎるのははっきり言ってボディメイク失敗と言えます。
(筋肉量が低下することで、代謝が低下するのは勿論、見た目が老けて見えます・・・。)

TCAサイクル

糖質を制限して、摂取カロリーのうち脂質が多いと脂質→ケトン体に変換されケトーシスになります。
糖質と脂質を制限するとタンパク質を分解する糖新生が盛んになります。

低脂質の場合は糖質を摂取するので、タンパク質を分解する糖新生が起きにくいため、極力筋肉量を減らさずに体脂肪が落ちやすくなります。
糖質制限で脂質をある程度摂取している場合、脂質→ケトン体へと分解されエネルギー利用され、この状態をケトーシスといいます。
ケトーシスの状態では、摂取した脂質と体脂肪を分解してエネルギー利用されるため、極力筋肉量を減らさずに体脂肪が落ちやすくなります。

ケトジェニックダイエットがヒト の健康に及ぼす影響について 山本祐司 著

https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu/54/9/54_650/_pdf

要は、糖質と脂質の両方を制限するダイエットは失敗と言えます。

Q5:ダイエット期の停滞打破にオススメの方法は?

ダイエット歴半年になりますが、ここ1ヶ月間何も変化していない気がします。
ダイエット期の停滞打破にオススメの方法はありますでしょうか?

A5:恒常性は生物の基本、恒常性を揺さぶることが停滞打破に繋がります

人間を始め生物には恒常性(ホメオスタシス)が存在します。
生命活動の危機に陥らぬように、身体の変化にブレーキをかける仕組みです。
例えば、体温が上昇すれば汗をかいて体温を下げようとしますし、体温が低下すれば筋肉の震え運動によって体温を上昇させようとします。
少し話はそれますが、この恒常性の性質を逆手にとって、お湯に浸かって体温が上昇した後に、あえて水風呂や水シャワーを短時間浴びると湯冷めしにくくなります。
恒常性の特徴として”多めに振る”性質があり、ダイエット後のリバウンドによってダイエット前よりも体重が増えてしまうのはこの性質と言えます。

ホメオスタシス
停滞打破のため、あえて逆の行動を取るということも大切になります。

この性質を逆手にとった、ダイエット停滞打破の手法として短期的な解決法と、長期的な解決法の2つあります。
短期的な手法としてチートデーを入れることになります。
ざっくりと説明すると、定期的にドカ食いの日を設けることになります。
定期的の定義は、その人の体脂肪率などにもよるため、個別性をもってチートデーに取り組みましょう。

チートデーの取り入れ方の詳細は過去記事「定期的なドカ食いはダイエットの味方!?停滞打破のためのチートデーの方法」を参照してみてください。

https://ys-personal-gym.com/blog/2016/08/18/%e5%ae%9a%e6%9c%9f%e7%9a%84%e3%81%aa%e3%83%89%e3%82%ab%e9%a3%9f%e3%81%84%e3%81%af%e3%83%80%e3%82%a4%e3%82%a8%e3%83%83%e3%83%88%e3%81%ae%e5%91%b3%e6%96%b9%ef%bc%81%ef%bc%9f%e5%81%9c%e6%bb%9e%e6%89%93/

長期的な手法として減量後にプチ増量期を設けることになります。
ざっくりと説明すると、減量期と短期的な増量期であるプチ増量期を交互に行うイメージになります。
プチ増量期で体重が戻り過ぎたら本末転倒なため、減量期の減量幅の30~50%程度までにとどめると良いでしょう。

プチ増量期の取り入れ方の詳細は過去記事「恒常性を揺さぶれ!効果的な増量と減量サイクルについて」を参照してみてください。

https://ys-personal-gym.com/blog/2019/01/15/massup_diet_planning/

まとめ

今回のことをまとめると
・3ヶ月以上の長期的な糖質制限は避けること
・糖質制限後はトレーニング時の糖質摂取から行うこと
・脂質は最低限30gは摂取すること
・糖質&脂質制限はダメ絶対!
・ダイエット停滞打破はチートデーやプチ増量期で解消

になります。

是非、この記事を参考にして、疑問を払拭した上で自信を持ってダイエットに取り組みましょう。
トレーニングの原則に意識性というのがあり、目的ややる意味を理解することでパフォーマンスが向上するとされています。
ダイエットは根性も大切ですが、理論武装もして両面性を持って取り組んでいきましょう!

以上になります!

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当ジムでは機能解剖学に基づいたトレーニングと栄養学に基づいた食事指導、目標達成のためのメンタルコントロールをトレーナーとマンツーマンで実施して指導致しますので、挫折なくしっかりと結果を出せていきます!

カッコ良くボディメイク、またはスポーツパフォーマンス向上のお手伝いが出来ればと思います! この他にも、トレーニングや食事に関する疑問や質問がありましたら、是非一度私のジムの体験トレーニングやカウンセリングを受けてみてはいかがでしょうか。 より詳細な情報、身体の使い方について指導させて頂きます。 引き続き、身体作りに必要な情報を掲載致しますのでよろしくお願い致します!

杉並区の京王井の頭線西永福、浜田山が活動拠点になります。

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「超理論超実践派トレーナー」 義田 大峰 (職業:パーソナルトレーナー兼フィットネスジム経営) 科学的根拠に沿った「無駄な辛さやリバウンド無し!」のメソッドを掲げ、500人を超えるお客様をサポート。 自身もボディメイク、パワーリフティング、空手やキックボクシングの競技で活躍する。 ワイジング株式会社 代表取締役 ワイズパーソナルジム(西永福)代表 パワーフィットスタジオZERO(浜田山)代表 日本タイ古式マッサージ協会プロセラピスト認定資格 全世界空手道連盟新極真会初段 指導員経験あり 全中部フルコンタクト空手選手権大会一般上級の部 3位 東京都パワーリフティング協会理事 2022年東京都パワーリフティング83kg級優勝 2022年東京都ベンチプレス大会83㎏級優勝 自身が120kgから70kgに減量に成功したことや、柔道、空手、パワーリフティングなどの競技経験をきっかけにフィットネス業界に入る。 RIZAP(ライザップ)株式会社に入社。 その後独立し、ワイズパーソナルジムを設立し、パーソナルトレーナーとしてボディメイクやスポーツ選手に対して指導、セミナー主催、フィットネス事業とそのコンサルティングなどを行っている。 【ワイズパーソナルジム】 東京都杉並区大宮2-7-4 京王井の頭線 西永福駅から徒歩5分 【パワーフィットスタジオZERO】 東京都杉並区高井戸東3-14-16 京王井の頭線 浜田山駅から徒歩5分