ワイズパーソナルジム代表の義田大峰です。

トレーニングは軽い負荷で効かせるのが大切!
いや、重い重量で筋肉にしっかりと刺激を!

という会話を聞いたり、どちらが良いのかという質問を良く受けます。

筆者の脚トレはフルスクワットと床引きデットリフトのみですが、前もも(大腿四頭筋)はそれなりに発達してきています。 フルレンジ、適切な重量をスピーディーに挙げることを意識しています。

低負荷で効かすVS高負荷、どっちが正しい!?

結論から言うと「正しいフォームであることを前提に重い重量を素早く挙げることが大切!
と答えるようにしています。

正しいフォームをもっと具体的に説明すると、
最初はチーティング※1を使わずアイソレーション※2を意識して、可能な限りフルレンジで動作すること」になります。
※1反動を使った動作のこと ※2効かせたい部分の筋肉のみ動作すること

今回は、良く誤解されがちな「軽い重量で効かす、高負荷でトレーニングする」について本質まで掘り下げて説明していきます。
筋肉成長のメカニズム」→「トレーニングと力学」→「実際のトレーニングで意識すること」の順番で説明していきます。

是非、この内容を参考にして頂き本質を見失わない、効果的なトレーニングを実施していきましょう!

トレーニングにおける筋肉成長のメカニズムについて

まずは「なぜ、トレーニングで筋肉が発達するのか?」について説明します。

生物には変化する環境に適応する能力が存在します
これを「ルーの法則※」と呼び、筋肉が成長するメカニズムもこれに当てはまります。
※ドイツの生物学者ルーが提唱したもので、「ヒトの器官や
機能は、適度に使えば発達し、使わなければ退化・萎縮する
』という法則で
す。

筋肉の成長はトレーニング負荷に対する人間の適応反応になります。 右の写真は2年前で左は1年前ですが、適切なトレーニングと栄養摂取を実施すれば適応反応によって筋肥大していきます。 人間の適応力は半端ではありません(笑)

そして、トレーニングの原則である「トレーニングの7大原則」はこのルーの法則
をもとに発展させたものです。
ルーの法則に則れば、「適度に使えば発達する」ということですが、筋肉に対して「物理的」「化学的な刺激を与えて、その刺激への適応反応として筋肥大や筋出力向上が起きます

物理的な刺激とは、バーベルやダンベル、マシンなどの負荷によるエキセントリック※な刺激によって筋繊維にダメージを与えることです。
※筋肉が伸長する動作で、ベンチプレスやスクワット、デットリフトであればバーを降ろす動作、懸垂やラットプルであれば引き付けたバーを戻す動作になります。

ベンチプレスにおいては、肩甲骨を適度に寄せて胸を張ること(肩甲骨の内転と下制)で、バーを胸に付けたときに胸の筋肉が最大限に伸長(ストレッチ)されます。筋肥大においてこのストレッチ性の刺激は重要になります。

化学的な刺激とは、筋肉の収縮運動を繰り返すことによって発生する乳酸が溜まった状態や酸欠状態による刺激のことです。

この2つのタイプの刺激を筋肉に与えることで適応→発達(そして肥大)していきます。
特に、物理的な刺激が筋発達に有用な刺激になりますので、物理的な刺激→化学的な刺激 の優先順位でトレーニングしていきましょう。

トレーニングと力学について

物理的な刺激を理解するとき、高校の物理の授業で習った「位置エネルギーと運動エネルギー」から考えると納得しやすいです。

まず、エネルギーとは物体が持っている、仕事をする能力、仕事量(単位はJ:ジュール)とも言う」であり、
筋肉への物理的な刺激を強くするためには、単純に仕事量を大きくすることが必要になります。

位置エネルギーと可動域について

位置エネルギーとは、物体が「ある位置」にあることで物体にたくわえられるエネルギーのことを指します。

トレーニングではバーの位置の変化量と捉えてもいいでしょう。
(スクワットなら、立ったときのバーの位置から、しゃがんだときのバーの位置の差になります)

位置エネルギーの公式は、
∨=mgh 位置エネルギーV(j)=質量m(kg) x 重力加速度g(9.8とします) x 高さh(m)
になります。

例えば、同じ重量のバーを持っていたとして、フルスクワットでh=1.0m、クォーター(膝を立った状態から45°曲げる)スクワットでh=0.5mだとしたら、クォータースクワットは単純に仕事量は半分になります。

良くありがちなのは、高重量になるにつれてスクワットのしゃがみが浅くなることがありますが、
それは結果的にトレーニング動作時の仕事量が変化しない、もしくは減らすことに繋がるのであまり望ましくありません
(ただし、高重量に慣れるために高重量で狭い可動域で実施するトレーニングはたまには有効です)

また、筋肉は伸張性の刺激で発達しやすい※ですので、仕事量の数値以上に可動域一杯のフルレンジ動作は筋発達を促す上で重要であると言えます。
※参考文献:筋力増強の代表的方法と効果 室 増男http://medicalfinder.jp/doi/pdf/10.11477/mf.1551101637
2017年7月12日確認済

運動エネルギーと重量、挙上スピードについて

運動エネルギーとは物体の運動に伴うエネルギーであり、物体の速度を変化させる際に必要な仕事量です。

トレーニングではバーの重量と挙上スピードが該当します。

運動エネルギーの公式は、
K = 1/2mv2 運動エネルギーK(j)=質量m(kg)× 物体が速さv(m/s)の二乗
になります。

例えば、同じ重量でベンチプレスを実施する際、挙上スピードがv=1.0m/sと半分のスピードのv=0.5m/sと比較すると、
仕事量は4倍の差になります。

ということは、高重量であっても粘ってゆっくりと挙げるよりも、それよりも少し軽い重量で素早く挙げた方の仕事量が勝ることがあり得るということです。

理想は「高重量を素早く挙上すること」です。
特に、格闘技でのフィジカルトレーニングにおいては、高重量を素早く挙上することはパンチやキック力などの打撃力向上に有用です。

たまに「トレーニングしてパワーが付いたけどスピードが落ちた!」という声を聞きますが、
それは、重い重量を扱えるようになっただけでゆっくり挙上していたらパワーが無いのとあまり変わりません
言葉は汚い言い方ですが「重い重量をちんたら挙げてる場合ではない!重い物を早く挙げるんだ!」と指導しています。

実際のトレーニングで意識することについて

以上のことを意識すると「フルレンジで高重量を素早く挙上!」が筋肉の仕事量を増大させ物理的な刺激を与える上で重要になります。

次に重要になるのが、動作に使う筋肉を極力目的の部位の筋肉のみを使う(=アイソレーション)も意識です。

自身の筋力を超えた重量で実施すると、目的以外の筋肉を利用して動作しようとします(=代償動作)

ですので、代償動作は極力せずにトレーニング動作を反復すること、効いてきて動作が難しくなってから代償動作を実施して追い込むようにしましょう。

種目別のアイソレーションの例

アームカール

アームカールは力こぶである上腕二頭筋を鍛える主要な種目です。

上腕二頭筋は肘関節を曲げる際に作用する筋肉です。
ということは、肘関節以外の関節(特に肩関節、手首、肩甲骨)はなるべく動かさないで、
肘関節の曲げ伸ばしに注力する
ようにしましょう。

また、可動域を意識すると、肘を痛めない範囲まで伸ばして負荷が抜けない範囲まで曲げることを意識しましょう。
フルレンジだからと言って、しっかり曲げてロックして骨で支える瞬間を作ると筋肉への刺激は一気低下します。

インクラインダンベルアームカールは上腕二頭筋にエキセントリックな刺激がかかるのでおすすめです。腕を伸ばした状態から肘を90°曲げる動作を繰り返しましょう。

↓Youtube「最短で力こぶを手に入れろ!効率の良いアームカールを伝授」の動画

https://youtu.be/aHuTSspiFE4

ラットプルダウンもしくはチンニング(懸垂)

ラットプルダウンやチンニングは、効かす部位やフォームの意識はまちまちな種目ですが、
私は背中の脇の付け根部分の広背筋や大円筋を効かすように意識しています。

意識することは肩関節を支点として上体を引き上げていくことで、この広背筋と大円筋の筋肉は作用します。
顎は上にあげて、上体は反らしたまま固定して身体を引き上げていきます。

可動域としては、腕を伸ばしきる手前から上体を引き起こして、肘関節が90°くらい曲がるところまでが背中の筋肉が作用されやすい範囲です。

上体を少し後ろに反らしてその姿勢のまま動作します。ある程度腕を伸ばしたところから、顎の前まで引くようにします。

↓Youtube「逆三角形の体形を作る懸垂(チンニング)を身に付けよう!」の動画

https://youtu.be/ZWJ8Q13PBww

まとめ

「軽い重量で効かす」や「重い重量でトレーニング」という概念はそもそも間違いであり、
あなたに合った「目的の筋肉のみを使うことを意識でき、フルレンジで実施する中で挙上スピードと重量のバランスのとれた設定が大切」になります。

ただ、その重量設定を見つけるのは中々難しいですので、
1.ある程度正しいフォームを意識できる範囲で毎回使用重量を少しづづ上げていく
2.フォームが乱れてきたり、使用重量が伸びなく頭打ちになってきたら重量を落とす(開始時よりは重い設定で)
3.アイソレーション、フルレンジ、挙上スピードを意識してトレーニングを実施する

1~3を繰り返すことがおススメです。

是非、筋肉が成長する環境を本質的に正しいトレーニングで提示して、効率良く筋肥大そしてボディメイクや競技力向上を図っていきましょう!

当ジムでは機能解剖学に基づいたトレーニングと栄養学に基づいた食事指導、目標達成のためのメンタルコントロールをトレーナーとマンツーマンで実施して指導致しますので、挫折なくしっかりと結果を出せていきます!
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カッコ良くボディメイク、またはスポーツパフォーマンス向上のお手伝いが出来ればと思います!
この他にも、トレーニングや食事に関する疑問や質問がありましたら、是非一度私のジムの体験トレーニングやカウンセリングを受けてみてはいかがでしょうか。
より詳細な情報、身体の使い方について指導させて頂きます。
引き続き、身体作りに必要な情報を掲載致しますのでよろしくお願い致します!

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「超理論超実践派トレーナー」
義田 大峰 (職業:パーソナルトレーナー兼フィットネスジム経営)

科学的根拠に沿った「無駄な辛さやリバウンド無し!」のメソッドを掲げ、500人を超えるお客様をサポート。
自身もボディメイク、パワーリフティング、空手やキックボクシングの競技で活躍する。

ワイジング株式会社 代表取締役
ワイズパーソナルジム(西永福)代表
パワーフィットスタジオZERO(浜田山)代表

日本タイ古式マッサージ協会プロセラピスト認定資格
全世界空手道連盟新極真会初段 指導員経験あり
全中部フルコンタクト空手選手権大会一般上級の部 3位
東京都パワーリフティング協会理事
2022年東京都パワーリフティング83kg級優勝
2022年東京都ベンチプレス大会83㎏級優勝

自身が120kgから70kgに減量に成功したことや、柔道、空手、パワーリフティングなどの競技経験をきっかけにフィットネス業界に入る。

RIZAP(ライザップ)株式会社に入社。
その後独立し、ワイズパーソナルジムを設立し、パーソナルトレーナーとしてボディメイクやスポーツ選手に対して指導、セミナー主催、フィットネス事業とそのコンサルティングなどを行っている。

【ワイズパーソナルジム】
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【パワーフィットスタジオZERO】
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