ワイズパーソナルジム代表/パーソナルトレーナーの義田です。
私ごとですが2016年9/24に東京都パワーリフティング74kg級に出場しました。
ナチュラルな普段の体重は79kg付近ですので、短期間で-5kg落とすことになり、方法として体内の水分を抜く「水抜き」を使って減量する方法を選択しました。
階級が存在するボクシングなどの格闘技の減量や、ボディビルのカット(筋肉を浮き上がらせる)を見せるなどに用いられるテクニックになります。
結論から言うと失敗に終わりました・・・。
原因は初期体重の計算ミスと水抜き期間が短かったことです。
結果として、74.6kgと600gオーバー、さらに重度の脱水症状でパフォーマンスが大幅に低下してしまいました。
私の失敗経験から、水抜きを実践される方向けにいくつかのコツと注意点をお伝え出来ればと思います。
今回の記事は、水抜きの概要→メリットとデメリット→実践の仕方と注意点 の順番でお伝えします。
水抜きは生命の源である水を抜くことになりますのでかなりのリスクと命の危険を伴う方法です。
今回お伝えする内容は、自己の判断と体調管理を十分にして、実践するときは細心の注意を払って実行して下さい。
目次
水抜きの概要について
水抜きとは短期的に身体から水分を抜いて「脱水状態」にして体重を減らす方法です。
サウナに入った後や、暑い夏場などで激しい肉体労働など行って汗をかいた後に体重を図ると何kgも減少した経験があると思います。
短期的な変化は、筋肉や体脂肪などが落ちた訳ではなく水の量が変動することによって引き起こされます。
人間の身体は約60%(成人の場合)の水を含んでいます。
例えば、体重70kgの場合は42kgが水になりますし、尿や便、呼気、汗などから排出されます。
ですので、体内の水分は筋肉や体脂肪などの他の組織に比べてとても流動的な物質となります。
水の摂取量を調整して、水を排出されやすい状況と作ることで短期的に体重をコントロールすることが可能となります。
水抜きのメリットとデメリット
メリット
・短期間で体重を落とすことができる
→体内水はとても流動的な物質で、まずは水を蓄える塩分や糖質を制限することでどんどん水が抜けていきます。
更に、汗や尿などでの排出することでどんどん減っていきます。
・短期間なので体組成を維持できる
→パフォーマンスを落とさず体重を落とすためには、筋肉を維持しながら体脂肪を落としていく必要があります。
しかし、体脂肪を1kg落とすのに約7200Kcal消費する必要があり最低1-2週間の期間を設ける必要があります。
また、ある程度まで体脂肪が落ちた状態で減量をすると筋肉も落ちるリスクがあります。
短期間での水抜きは筋肉や体脂肪などの組織をある程度維持したまま体重を落とすことが出来ます。
・浮腫みが解消されて引き締まる美容効果
→水抜きの際に塩分や糖質を控えたりするので、体内の水が抜けて浮腫みがとれやすくなります。
ボディビルの大会では水抜きを実施してカットを強調するようにしている選手は多いです。
日常生活での応用として、過剰な塩分や糖質を控えて、アボカドやバナナなどカリウムの多い食材を入れることで、浮腫みが解消されてスッキリして美容効果があります。
デメリット
・命の危険や体調を崩す原因に
→空気を絶つと数分-15分、水を絶つと4-5日、食事を絶つと約30日で死に至ると言われています。
水は細胞に含まれており、内臓を動かすなどの生命維持活動に必要な物質です。
体内の水分減少は体重の5%までが軽度の脱水症状で強い喉の渇き、立ちくらみなどがあります。
10%未満は中度の脱水症状で頭痛、嘔吐などがありぎりぎり動けるレベルです。
10%以上は昏睡など命の危険に直結します。
体調のことを考えると水抜きは最大で体重の6%までが妥当でしょう。
・リカバリーをミスするとコンディションに多大な影響が出る
→体重の3%水抜きすると瞬発系パフォーマンスが低下すると言われております。
また、筋肉の痙攣やつったりして動作に支障が出る場合があります。
ですので検量後に緻密なリカバリーを実施する必要があります。
ボクシングなどは前日検量、パワーリフティングなどの当日検量など、競技によって検量から試合までの時間が異なりますので、各競技に応じた対策を講じていきましょう。
・検量失格
→途中で水が抜けなくなり全く落ちなくなり、当日検量失格というパターンがあります。
水抜きの実践の仕方と注意点について
実践方法
水抜きの実践方法を時系列に説明していきます。
減量幅の計算方法
どこまで水抜きで落とせるのかを把握する必要があります。
まずはナチュラル状態※の体重から検量体重を引き算して差を出します。
※水抜きや塩抜き、糖質抜きなどを実施しないときの体重
差が6%未満であればそれほどリスクが高くない水抜きになると思います。
極力減量幅が少ないことに越したことはありませんので、事前にダイエットを実施して余分な体脂肪を落としておきましょう。
例:ナチュラル状態の体重:78kg
検量体重:74kg
差:4kg
水抜きの割合:4÷78=5.1%
一週間以上前
計画的なダイエットを実施して、筋肉を極力維持したまま体脂肪を落として体重を落とします。
また、水抜きの効果をより高めるためホメオスタシス(恒常性)※の働きを利用しましょう。
方法としては普段よりも塩分や水を多めに摂取しておくと良いでしょう。
※体内の環境を一定に保つ身体に備わる機能になり、体温が上がれば汗をかく体温調整機能、体重が落ちたあとに増えやすいリバウンドもこの機能の働きになります。
検量7-3日前
水分の摂取量は普段と変えず、むしろ多く摂取しても大丈夫です。
・塩抜き(減塩)
塩分(ナトリウム)は水を蓄える働きがありますので少しづつ控えるようにしましょう。
ただし、塩分は身体の浸透圧調整を司る重要なミネラルの一つですので過剰な制限はしないようにしましょう。
また、めまいやふらつきなど体調に変化があったら塩分摂取量を増やしていきましょう。
目安としては、3g→2g→1.5g/日みたいな形で徐々に減らしていきましょう。
特に汗をかかない場合は一日の塩分最低摂取量は1.5gになりますので、運動をする場合はこの数値より少し多めに摂取しても大丈夫です。
・糖質カット
糖質は身体のエネルギーになりますが、水を蓄える働きもありますので徐々に制限するとスムースに水抜きが出来ます。
普通食では総摂取カロリーの50%を糖質で摂取していますので、糖質を恐らく200-300g程度は摂取していることでしょう。
150→100→50g/日と徐々に減らしていきましょう。
塩分と違って制限してもさほど体調に変化がないと思いますので50g/日までいきなり制限しても大丈夫でしょう。
検量2日前
ここから体重を確認しながら水の摂取量を減らしていきます。
体調に急激な変化がない程度に水の摂取量を減らしていきましょう。
ここで塩抜きの効率を良くするためカリウムを多めに摂取していきましょう。
摂取量の目安としては3500~4000㎎程度(厚生労働省発表「日本人の食事摂取基準2015年版」)を超えるくらいを意識していきましょう。
アボカド1個1000㎎、バナナ1本500㎎、ほうれん草1株100㎎、干し芋100gで1000㎎、納豆1パック350㎎ぐらいになります。
食材からの摂取が難しい場合は、最後に記述していますカリウムのサプリメントを活用していきましょう
検量前日
検量前夜までに検量体重+0.3-0.5kgまでは減らしていけるとベストです。
もし、減量スピードが遅い場合は熱中症に注意しながらサウナ、岩盤浴、半身浴などで汗をかくと早く水が抜けます。
就寝時の代謝や起床後の排泄で減りますので、この程度の余裕はあった方が良いでしょう。
検量当日
検量をパスしたら直ちに吸収の良い糖質と塩分(ナトリウム)を含んだドリンクなどを飲んでリカバリーを実施していきましょう。
試合開始時間によりますが、競技までの時間が短い場合は固形物を避けるのが無難ですが摂取する場合は消化に良い「脂質の少なく吸収の良い糖質」を摂取するようにしましょう。
糖質の多いゼリーやバナナなどが良いでしょう。
注意点
1.計算をミスらないこと
私の場合、普段から糖質制限、塩分控えめな食生活を実施していて、その結果体重が79kgでした。
落ち幅計算ではそれらを実施していないナチュラルな状態の体重で計算しましょう。
2.水抜き期間は1-2日設けること
私の場合、試合前日にサウナや岩盤浴などで急激に水抜きを実施しましたが、あと600g間に合いませんでした。
水の摂取量を極端に減らす必要はありませんが、2日程度余裕を持っておくと成功率を高めるでしょう。
まとめ
水抜きまでを踏まえた検量までの日程として、
期間 | やるべきこと |
1週間以上前 | ダイエットを実施して体脂肪を極力落とすこと、水分や塩分は多めに摂取しても良い |
検量7~3日前 | 水分をしっかりと摂る、徐々に減塩をする、糖質制限も有効 |
2日前 | 水の摂取量を徐々に抑える、減塩(併せてカリウムを摂取する)、糖質制限も有効 |
前日 | 水抜きと塩抜きの実施、体重に余裕がある場合は糖質を摂取する |
検量当日 | 検量後はリカバリーのため水分+糖質+塩分を積極的に摂取していきましょう |
階級別の競技では水抜きは有効な手段の一つです。
ただし、やり方や段取り、リカバリーを間違えると検量失格だけでなくコンディション低下、健康を損なう可能性もありますので細心の注意の元実施していきましょう!
水抜き減量時のおススメのサプリメント↓
水抜き、塩抜き時
カリウム
塩分を排出するためにはカリウムの摂取は欠かせません。
食材から摂取できますが、不足する場合はサプリメントを活用すると良いでしょう。
リカバリー時
マルトデキストリン(粉飴)
水分と共に吸収の良い糖質を摂取するのに向いています。
また、砂糖と違い果糖を含まないため、血糖値上昇や中性脂肪増加のリスクを低く抑えることができます。
クエン酸
「疲れたらクエン酸」と言われる通り、人間の身体はクエン酸回路によって糖質、タンパク質、脂質をエネルギーに変換されます。
リカバリー時にクエン酸を摂取することで、摂取した糖質の利用効率を高めることが期待できます。
一度に3~5g程度、一日の摂取量の目安としては10~15gを意識していきましょう。
BCAA
必須アミノ酸のバリン、ロイシン、イソロイシンはパフォーマンス向上や筋分解防止を期待できます。
水に3~5gくらいを目安に溶かして飲みましょう。
海外輸入品ですが、一般的に高価格なBCAAが大容量で安く手に入ります。
私自身、毎日飲んでいますが3ヶ月以上なくなりません(笑)
↓ワイズパーソナルジム の無料カウンセリング体験トレーニングのお申し込み
↓パワーフィットスタジオZEROのホームページ
「超理論超実践派トレーナー」
義田 大峰 (職業:パーソナルトレーナー兼フィットネスジム経営)
科学的根拠に沿った「無駄な辛さやリバウンド無し!」のメソッドを掲げ、500人を超えるお客様をサポート。
自身もボディメイク、パワーリフティング、空手やキックボクシングの競技で活躍する。
ワイジング株式会社 代表取締役
ワイズパーソナルジム(西永福)代表
パワーフィットスタジオZERO(浜田山)代表
日本タイ古式マッサージ協会プロセラピスト認定資格
全世界空手道連盟新極真会初段 指導員経験あり
全中部フルコンタクト空手選手権大会一般上級の部 3位
東京都パワーリフティング協会理事
2022年東京都パワーリフティング83kg級優勝
2022年東京都ベンチプレス大会83㎏級優勝
自身が120kgから70kgに減量に成功したことや、柔道、空手、パワーリフティングなどの競技経験をきっかけにフィットネス業界に入る。
RIZAP(ライザップ)株式会社に入社。
その後独立し、ワイズパーソナルジムを設立し、パーソナルトレーナーとしてボディメイクやスポーツ選手に対して指導、セミナー主催、フィットネス事業とそのコンサルティングなどを行っている。
【ワイズパーソナルジム】
東京都杉並区大宮2-7-4
京王井の頭線 西永福駅から徒歩5分
【パワーフィットスタジオZERO】
東京都杉並区高井戸東3-14-16
京王井の頭線 浜田山駅から徒歩5分